わたしはこれまでデンマークがどんな国かを理解するためのピースを日々、一枚一枚拾ってはそれを見つめて自分の中の認識を創ってきました.

人々はどのような社会の中で生活し,何を考え,どのように行動し,いかに人や国を構成しているのか.

同時に、デンマーク人にとっての日本や日本人に対するイメージや疑問にも多く触れてきました。その国で生まれ育ったから気づかなかった海外の人がもつこの社会の違和感や不思議をお伝えします.

 

日本のイメージ

人によりますが,デンマーク人の日本のイメージは地理的には東アジアの一体にある国々の一つで,その中で十分に発展した国家であり、高度な技術や電子機器,テクノロジー,ゲームやアニメなどの言葉をあげられることが多いです. 

中国,韓国とイメージが混在している人も多くいるのが実際です.やはり東アジアと言えば中国の印象がかなり強いようです。食べ物も日本と言えばSUSHIで,それ以外は中華料理や韓国料理と区別がつかないので,デンマークの日本の料理と称している外国人が経営しているレストランは日本人としては非常に受け入れがたいです.そしてよく聞かれるのは,隣国中国や韓国との関係のことです.近辺の国々と侵略を繰り返した歴史が彼らにもあるから気になるのだそうです.

 

日本を旅してデンマーク人が気づいたこと

日本に滞在したことのあるデンマーク人によると,日本がとてもクリーンな国だということに感激するそうです。例えば公共の場にゴミが散乱していないとか,一人ひとりが衛生的であることだそうです。食べ物を買ったらおしぼりが付いていたり,トイレが清潔に保たれていることは海外では珍しいのだそうです.

人の行儀の良さや礼儀正しさにも驚くようです。総じて日本人は優しくて愛想が良く,また店員やガードマンが事あるごとにお辞儀をし挨拶しているのを見ると顧客としては満足するかもしれないけれど,店員と客の立場が平等のデンマークからするとちょっと過剰,もしくはそこまでするほどのお給料をもらえているのかと心配になるほどだそうです.

そして,やはり日本の食べ物は最高!と誰もが言います。たくさんの種類の,旬のものが,様々な調理方法で,そして新鮮な食材を豊富に使っている素晴らしさは日本に旅行したことのあるデンマーク人なら,その辺りの日本レストランとは全く別物だと気がつくそうです.

 

日本の不思議

日本では職業による性の偏りや性役割を強く感じたという話も聞きます.例えば飛行機の客室乗務員は若い女性ばかり,スーパーのレジで働いているのは中年の女性,通勤時間の電車は殆ど背広を着たビジネスマン,赤ちゃんを連れているのは母親,スーパーで買い物をしているのも女性が多い….確かに,デンマークでは職種による性別の偏りが日本のようには無いかもしれません.殆どの職業で色々な年齢の男女が働いていますし,通勤電車は男女ともにいます(スーツを着た人は殆どいません),たくさんの父親が赤ちゃんを連れていますし,スーパーで買い物もします.

デンマーク人曰く,全体的にみると日本人はみんなが同じ身なりで同じ行動様式をとっているようにみえる,とのこと.

日本のテレビ番組を観たデンマーク人は『日本の殆どの番組はエンターテイメント(バラエティ番組)だった。コメディアンやセレブが出てきて製作側が期待するコメントをしたり,大袈裟に演出・編集している番組が多いなと思った.表面的な娯楽だよね.日本人は仕事や学校から疲れて帰ってきて,そういう番組をボーっと観て疲れを癒す必要があるのかな.でも今社会で起きている事柄の実際や,批判的なジャーナリズム,ドキュメンタリー,歴史,テクノロジー,政治,文化の多様性といった知性に関わるような番組があまりないのは残念だ.』

デンマーク人が日本における男女の格差や人々の認識など社会の課題とされていることについて鋭く指摘するようなコメントを聞いた時には,日本人としてドキリとします.

もっと色々な面で日本人が気づかない海外の人からすると不思議なことは沢山あるでしょう.比較して優劣をつけるものではなく、メディアによって過剰に形作られたものを鵜呑みにするのでもなく、異なる文化や風習の実際を様々な視点でみたり一人ひとりが自分の理解を深めるには、人と人が触れ合い対話することが必要なのかもしれません.

 

 

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